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物流業界の壁を越えてゆけ!ドローン物流の未来はすぐそこに

近年の物流業界には人手不足や利益率の低下といった、さまざまな課題が浮き彫りとなっています。これらの課題に対する解決策として、注目されているのが、空を飛ぶ小型無人機ドローンです。今回は、物流業界にドローンを活用することで、どのようなメリットがあるのかをご紹介します。

物流業界の前に立ちはだかる壁

ドローンの物流利用が注目されるのは、近年の物流業界で、さまざまな課題が深刻化していることが背景にあります。

人手不足

日銀の調査によると、運送業はワースト2の人手不足業界です。この人手不足は、トラック積載率が年々悪化していること、eコマース市場の拡大により、小口荷物の戸別配達量が増加していることが主因といわれています。

競争過多

規制緩和の影響もあり、参入しやすくなった運送業は競争が激化し、全体的に利益率が低下しています。これにより、需要が拡大しても、利益が上がりにくい構造ができているのです。

環境への配慮

国内の貨物輸送量は、トラックによる輸送が約9割を占めています。このように、物流の主役ともいえるトラックですが、課題の1つに排気ガスとそれに含まれる温室効果ガスの問題があります。さまざまな取り組みにより、トラック輸送からのCO2排出量は減少傾向にありますが、それでも排出量として上位にいることは変わりありません。

ドローンで解決できる物流の課題

このように、近年の物流業界には多くの課題があり、これらが絡み合って複雑化しています。これらの課題を解決する糸口として注目を集めているのが、ドローンの活用です。

物流へのドローン活用に国も本腰

国土交通省もドローンを活用した物流に本腰を入れて取り組んでいます。

この背景にあるのは、ドローン物流によるCO2排出量削減に対しての大きな期待です。国交省は「平成30年度CO2排出量削減に資する過疎地域等における無人航空機を使用した配送実用化推進調査」として、ドローン活用による、CO2排出量削減効果の調査を進めています。

その初期段階として試験導入されるのが、山間部や過疎地域においてのドローン配達です。山間部や過疎地域では、移動距離に対して配達回数が少なく、輸送が非効率になりがちなため、ドローン配達が特に期待されています。

この検証対象として選ばれた5つの地域の1つが、日本郵便株式会社による福島県です。この実験では、福島県南相馬市の小高郵便局から、双葉郡浪江町の浪江郵便局まで、約9kmの距離をドローンによって、荷物を配送します。平成30年10月29日からの1年間に渡り、ドローン配達を行い、効果が検証される予定です。

このように、ドローン物流は国も効果に期待し、すでに導入に向けた具体的な飛行実験まで進んでいるのです。

大手ECが先陣を切るドローン配達

国がCO2削減に期待を寄せるのとは別に、違う側面からドローン物流の実用化に取り組んでいるのが、EC業界です。EC業界は、宅配便の個数を増やし、運送業の負担が大きくなっている一因といわれています。こうした物流業界の負担となっている現象を、ドローン配達によって解消しながら、新たなビジネスモデルを生み出すのが狙いです。

このEC業界によるドローン配達の先陣を争うのが、EC大手の楽天とAmazonです。楽天はドローンによる配達サービス「そら楽」の検証を進めています。専用アプリで買い物をすると、決められた受取所までドローンが商品を運んでくるサービスです。すでに複数回の配達実験を行い、今後の本格導入を検討する段階に入っています。

また、世界でいち早くドローン配達「Prime Air」の計画を発表したのはAmazonでした。2013年、まだ世界的にもドローンがそれほど一般的ではない頃に、Amazonはドローン配達を事業化する計画を立てていたのです。その後も同社は、研究開発を重ねながら、イギリスやアメリカでの配達実験を成功させてきました。ドローン配達に関する特許を取得したり、イギリスのケンブリッジに研究開発施設を設置したりと、ドローン配達の実用化に本腰を入れて取り組んでいます。

物流へのドローン活用にはまだ課題も

物流業界の課題に対する画期的な解決策に見えるドローン配送ですが、まだ完全な実用化にはいたっていません。それには、次のような課題が残っており、それらを順次解決していく必要があるからです。

環境負荷

CO2削減に効果が期待されるドローン活用ですが、条件によっては、排出量があまり減らないという報告もあります。科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表された論文では、ドローン配達によるCO2削減は、国や地域で異なる条件を十分に考慮しなければならないとしています。大量のCO2を排出している場所では、ドローン活用により大きなCO2削減効果が得られるものの、もとからCO2排出量が少なく、再生可能エネルギーの導入が進んでいる場所では、効果が小さいという指摘です。

また、ドローンはバッテリー容量によって、飛行距離が制限されます。そのため、あまり長距離の配達はできません。戸別配達を考えたとき、すべての地域をカバーするためには、多くの倉庫や中継地点が必要となります。こういった施設は、冷暖房をはじめ、維持のための電力を使います。ドローン配達を実用化するために、多くの施設を建設し、それを維持することを考えると、エネルギー上のメリットがなくなってしまうのです。このように、環境負荷の面でも課題はまだ残っているといえます。

法整備

日本国内のドローン飛行に対する法規制も課題の1つです。ドローン配達を可能とするためには、航空法、小型無人機等飛行禁止法、道路交通法、民法、電波法、都道府県、市町村条例などが関わります。ドローン配達では、無人での自動操縦が前提となり、目視できる範囲を超えて飛行しなければなりません。これらの条件は、飛行ごとの申請や承認が必要になる場合もあります。

こうした法に関する規制も、ドローン配達を実用化する障害となっていますが、国もドローン配達実用化に取り組むようになり、法整備も進んでいくと思われます。

社会的な信用度

ドローンの普及は進んでいるとはいえ、一般家庭でドローンに触れる機会は多くありません。そのため、ドローンに対して不安を感じる人がまだ多く、住民が不安を訴えれば、自治体も受け入れを許可するかどうか不透明です。安全性や保証についての説明を繰り返し、ドローンを身近なものとして感じられるような工夫が必要と言えます。

採算性

大量輸送に向かないため、配達地域の条件によっては採算が合わない場合もあります。例えば、離島への配達では、船による大量輸送のほうが配送コストの面で有利になる可能性もあります。事業として採算がとれるかどうかも実用化についての課題でしょう。

悪意に対するセキュリティ

物流での利用に限らず、ドローンを活用するときにもっとも怖いのが、ハッキングや電波妨害による盗難やテロのリスクです。こうした脅威を十分に防止できるセキュリティ面での堅牢性は、ドローン配達が実用化の最低条件といっても良いでしょう。

ドローン物流の実現はすぐそこに

ドローンを活用した物流と実用化に向けた取り組みについてご紹介しました。ドローンを活用した物流は、現実のものとなるための検証段階へと突入しています。物流業界の前に立ちはだかる壁を、ドローンによって飛び越えて行く日も近いかもしれません。

参考:

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