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世界にあふれる廃棄プラスチック問題―物流業界だからできること

世界にあふれる廃棄プラスチック問題―物流業界だからできること

さまざまな商品の包装材として活躍し、成形性・耐久性・コスト面でも非常にメリットの大きい素材、それがプラスチックです。プラスチックはその特性と利便性から、人類の生活にとってなくてはならない存在となってきました。しかし今、プラスチックに関して廃棄物という大きな問題が浮上しています。この問題に対し、世界ではどのような取り組みがなされているのかをご紹介します。

世界を取り巻くプラスチックの廃棄問題

ジョージア大学新素材研究所の研究チームは、国連による国際貿易データと廃棄物の貿易データなどをもとに、プラスチック製品の使用と廃棄の状況をまとめました。この研究結果によると、2017年までに累計83億tのプラスチック製品が世界中で生産され、累計63億tのプラスチック廃棄物が生み出されています。このような想像を絶する量のプラスチック廃棄物が生み出され続けているなか、リサイクルされているものは全体の9%に過ぎないということもわかりました。

また、報告の中で注目すべきなのは、年間400万t~1200万tのプラスチック廃棄物が海へと流入しているという事実です。海へ流れ出た廃プラスチックは次第に壊れ、物理的に細かくなっていきます。しかし、物質的に分解されることはありません。こうして直径5mm以下の微小な粒子となったプラスチックは、マイクロプラスチックと呼ばれています。このマイクロプラスチックは、いまや「プランクトンからクジラまで」と言われるほど、あらゆる海洋生物の体内に取り込まれていることが判明しています。このような魚を食べることで、次にマイクロプラスチックが入り込むのは人間の体内です。

マイクロプラスチック問題は、人間の健康にも影響するリスクがあるとして経済協力開発機構(OECD)は警鐘を鳴らしています。

世界の動き

OECDに先立ち、プラスチック廃棄物問題に関する報告を公表したのは国連環境計画(UNEP)です。この報告書では各国によるプラスチック廃棄物への対策をまとめ、紹介しています。

ルワンダでは世界に先駆け、2008年にプラスチックに対する規制法を整えました。プラスチック製のレジ袋の生産・消費を禁止し、輸入だけではなく個人による持ち込みについても、空港や国境で没収されるという徹底ぶりです。また、ケニアでも同様の規制が行われ、ジンバブエでは発泡ポリスチレン容器が禁止されています。このように、アフリカの多くの国でプラスチック製レジ袋が禁止、または有料となっています。

欧州においては、イタリアが2011年にプラスチック製レジ袋の種類を限定することを決めました。20カ国以上が何らかの規制をするなか、EUではプラスチック製のフォークやナイフ、スプーン、ストローなどの禁止が2018年に提案されています。

アジアでは中国やインドでレジ袋に使うプラスチック素材を限定、米国でも州や市により規制が加速しています。このように、プラスチック廃棄物問題への危機感は世界的に高まり、規制策の検討・導入が進んでいます。

企業の動き

プラスチック廃棄物問題への対策として、独自に取り組みを進める企業もあります。

世界最大の家具量販店を展開するIKEAでは、2020年までに世界中の全店舗で使い捨てプラスチック製品の販売を取りやめることを発表しました。さらに店内レストランでの使用も廃止すると宣言しています。

消費財大手のグローバル企業、ユニリーバもこの問題に取り組み始めています。自社製品で使用するプラスチック容器について、2025年までに100%リサイクル、または堆肥化できるものへと変更するというものです。

デンマークの老舗玩具メーカーLEGOでは、ブロックとして大量のプラスチックを取り扱っています。環境への関心が高いことでも知られる同社では2013年から世界自然保護基金(WWF)とパートナーシップを結んでおり、プラスチック廃棄物問題への対策にも乗り出しました。2018年に植物由来のプラスチック製ブロックの発売を開始。2030年までに全てのLEGOブロックを移行することが目標です。

こちらも食料品で世界最大の企業、ネスレは2025年までに全商品の包装材をリサイクルまたは再利用なものへと切り替えていくと発表しました。同時にリサイクルプラスチックの市場を発展させていくとしています。

一方、食品包装資材を製造する側として取り組みを進めているのが、牛乳パックをはじめ包装材と梱包機器で知られるテトラパックです。同社は紙製ストローの開発に着手し、これまで小さなサイズの牛乳パックに付属していたプラスチック製ストローを紙製へと切り替えていくとしています。プラスチックごみを選り分ける作業が不必要となることで、プラスチックの廃棄に関する問題を根本から解決していこうという狙いです。

物流業界の動き

包装資材まで含めて考えると、物流業界はプラスチック製品の使用量が格段に多く、プラスチック廃棄物に大きく関わっている業界といえます。

そうした状況で、物流業界では3つの角度からプラスチック廃棄物を削減する取り組みが行われています。

  • 廃棄プラスチックの回収とリサイクル
    廃棄されたプラスチックを回収し、粉砕して原料へと還元することでもう一度プラスチック製品として成形し利用されています。代表的なものとして再生プラスチックパレットがあります。
  • ワンウェイではなくリターン
    パレットやコンテナなどの物流アイテムを、一方通行のワンウェイではなく循環利用する動きが定着しつつあります。こういった循環利用される物流アイテムを、RTI(Returnable Transport Items)と呼びます。
  • バイオプラスチックの使用
    いかにプラスチック製品のリサイクル・再利用率が高まったとしても、それを100%にするのは容易なことではありません。そこで注目されているのが生分解性プラスチックです。微生物により分解され、自然へと還っていくため、マイクロプラスチックを生み出しません。包装資材として生分解性プラスチックの利用が各業界で進められています。

プラスチック廃棄物は全ての企業の問題

プラスチックの廃棄物は、地球規模の課題として多くの有名企業が取り組んでいます。しかし、このような大企業の取り組みだけでは解決に至りません。中小規模の企業も含め、プラスチック廃棄物を減らすための改善策・予防策を見つけ実践していかなければ、すでに手遅れになりかねないところに来ているのです。プラスチック製品の使用量の多い物流業界も例外ではなく、自社や業界として何ができるのか考えて実行していかなければならないでしょう。 

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