コンビニ1000億個の商品に電子タグが付けられる日
お弁当から生活雑貨まで多様な商品を取りそろえ、販売しているコンビニ。実は商品の配送と検品だけでも多大な労務コストを必要としています。人手不足の中で、これを解消する決め手になるのが経済産業省主導による主要コンビニすべての商品への電子タグ導入なのです。
「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」って何だろう?
2017年4月、経済産業省は2025年までに、セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズのすべての取扱商品で電子タグを利用し、商品管理を行うことでコンビニ主要各社と合意しました。
現在、コンビニ各社をはじめとする小売業は人手不足と労務コストの上昇という課題に直面しています。ロジスティクスの面では大量生産、多頻度配送といった高度に効率化されたシステムが実現されていますが、一方でサプライチェーン全体では弁当の廃棄などの食品ロスや返品といった課題も抱えています。
コンビニ主要5社の取扱商品は、推計で1年間に1000億個となります。このすべての商品に電子タグを付けることで労務コストを大幅に軽減し、人手不足の中でも流通を維持することが「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」なのです。
電子タグの単価が普及のカギ
1000億個の商品すべてに電子タグ(RFID)を取り付けるには、商品のメーカーからコンビニの店頭まですべての段階で対応が必要になります。実現にあたって、まず条件となるのがRFIDのコストです。
経産省の宣言では、商品の製造元であるメーカーが商品に電子タグを付ける「ソースタギング」を求めています。コンビニでは1個数十円単位の菓子類から、数百円程度の食品、1000円を超える雑貨や書籍・DVDなど多様な製品を取り扱っています。ですが、RFIDがある程度普及しているのはコンビニよりも商品単価の高いアパレルなど一部の分野に限られています。これは、電子タグの価格が理由にあります。
現在のRFIDの単価は1個あたり10~20円程度。平均単価が1000円を超えるアパレル製品でなければ、この価格のRFIDは見合いません。このコストを1個1円以下にすることがコンビニに普及させるための最初の目標です。RFID1個のコストには、ICチップ+アンテナ+シール化などタグの加工に関する費用のすべてが含まれます。
電子タグ導入でコンビニには何がメリット?
RFIDの単価を下げることができたとしても、流通のすべての経路に導入させるのに、最初はどうしても開発コストがかかってしまいます。それでは、コンビニ側は普及の努力でどんなメリットが得られるのでしょうか?
セブン-イレブン・ジャパンでは、RFIDを活用した店舗での実証実験を2017年夏から開始しました。大きな目的は検品作業の省力化です。商品情報が記録されたRFIDを配送用のカゴ車に付け、商品とカゴ車を紐付けします。商品データは各店舗へ送られ、カゴ車ごとゲートを通るだけで納品時に商品の品目や数量が確認できるという仕組みです。
これまでは店舗で店員が一つ一つの商品のバーコードを読み取って検品を行っており、1日当たりの検品時間は170分かかっていました。RFIDを利用すると1日当たりの検品時間が8分に短縮できる計算で、年間では約80万円の人件費削減効果があるといいます。商品の積み下ろしや検品を省力化できることで、配送ドライバーの労働条件が軽減され、女性の雇用促進につながるという点もねらいの一つです。
コンビニの人手不足と労働条件を、RFID導入による省力化で緩和しようというのが経済産業省の目標です。当初はRFIDの単価引き下げが課題となっていますが、コンビニ各社の中でも大手のセブン-イレブンが店舗の検品作業コスト引き下げに向けて実証実験を開始し普及に向けた取り組みを進めています。
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