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ブラジャーから医薬品、洋書まで、必要なところへ間違いなく届けるRFIDの力

ブラジャーから医薬品、洋書まで、必要なところへ間違いなく届けるRFIDの力

「商品管理はバーコードで十分では……?」RFIDは導入にコストがかかることから、メリットを測りかねることもあるかもしれません。情報量の多さや一括情報読み取りの高速性、センサー付きアクティブ型タグの利用など、RFIDが真価を発揮するさまざまな業界の事例を紹介しましょう。

「一点モノ」の洋書をRFIDで顧客の手へ

日本国内で刊行された書籍は、新刊書であれば国内どこへ行っても同じ本を同じ価格で購入することができます。これは和書が再販制度により一定の価格に保たれているためです。

ですが、洋書の場合はこうした制度はありません。同じ本であっても、輸入時の為替レートの変化や経由する取次会社によって価格が異なります。また購入者が限られるため、販売機会を逃すと値下げによる赤字販売を行って在庫を処分しなくてはなりません。

同じ本でも、洋書は意外にも価格が変動する生ものなのです。

そこで、国内28店舗で80万冊の洋書を取り扱う紀伊國屋書店は、2010年から洋書全品にRFIDタグを取り付け、商品センターから各店舗までの一貫した管理を行っています。

個品管理が可能になったことで一冊一冊の本を識別し、洋書販売をデータ化することができるようになりました。また、棚卸業務が大幅に効率化され、棚卸コストは従来の4分の1になったといいます。

もちろん、重要なことは書籍が必要としている人の手に確実に届くことです。入出庫管理が正確に素早くできていることにより、購入希望者は店頭在庫を検索して、ほしい本の所在を正しく確認できます。

購入希望者と商品のマッチングがしっかりと行えることにより、洋書販売という文化を支えるサービスの足腰を確かにしているといえるでしょう。

患者を守るトレーサビリティーを実現

2017年1月、奈良県でC型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造品が薬局を通じて肝炎を治療中の患者の手に渡ってしまうという事件が発生しました。幸い、この件では患者が製品の異常にすぐに気がついたため、偽造品の薬剤を服用してしまうことはありませんでした。

とはいえ、重大な病気を持つ患者が間違った医薬品を手にしてしまうことのないよう、メーカーから患者まで一貫した医薬品のトレーサビリティーの確保が重要であることはいうまでもありません。

日本では近年まで偽造薬の問題が少なかったため、RFIDを使った医薬品のトレーサビリティーシステム導入はそれほど進んでいませんでした。一方で、医療機関内での薬剤投与の取り違えを防ぐためのRFID導入が始まっています。

入院中の患者のリストバンドにもRFIDを導入し、調剤された医薬品のRFIDタグと照合することで、間違いなく患者本人に合わせた薬剤投与が可能になります。

医薬品の中には、生物由来の製品など品質を一定に保つため、厳格な温度管理といった保管条件を守らなくてはならないものがあります。

医薬品を保管する倉庫の棚にRFIDを導入する、搬送時の梱包単位にセンサー付きのアクティブRFIDタグを取り付ける、といったソリューションにより、保管・輸送時の状況を把握し管理することができるのです。

高度な品質保証が可能になるだけでなく、保管時のミスによる廃棄ロスを低減することにもつながるでしょう。

「売れ筋サイズが店頭にない!」を防ぐアパレルの現場

婦人用のブラジャーは、女性のアンダーバストやカップのサイズによって多様な種類があります。同じデザインでも、サイズや色違いなど見た目で判別しにくく、店頭在庫が大量にあるように見えて、実は特定のカラー、サイズはほんの数枚しかないということも少なくありません。

外見では瞬時に判別しにくい製品が大量に存在するアパレルの現場では、RFIDを使った製品管理が力を発揮します。

たとえば、物流センターでは、製品の箱を開けずに梱包単位、パレット単位で高速に一括管理できることから、店舗への配送ミスを削減することができます。

同じブランド、チェーンでも店舗によって売れ筋商品が異なることや、あるサイズが集中して売れて店頭からなくなってしまうことも。

こんなときにRFIDによる管理システムがあれば、欠品が店舗のバックヤードにまだ存在するのか、流通センターから緊急の配送が必要なのか、といったことがすぐに判明します。販売機会の損失を最小限に抑え、求める顧客に確実に商品を届けることができるのです。

こうした利点から、国内のアパレル企業でもRFIDの導入を進めている企業が増えています。

課題はといえば、販売時のタグの処理です。販売済みのタグを取り外したり機能停止処理を行ったりする場合もあれば、「販売済み」フラグ処理を行う場合もあります。

特にRFIDタグを取り付けたままフラグによって管理するケースは、RFIDの機能が生きたまま店舗外で流通してしまう可能性があることも課題といえます。販売済み処理には標準規格がなく、さらに多くのチェーンや店舗で導入していくためには規格化を進め、販売後の混乱を防ぐ対策が必要となるでしょう。

 

洋書、医薬品、アパレルとまったく異なる分野ですが、RFIDを使ったソリューションを導入することで、製品とそれを必要としている個人とを確実に結び付けることができます。返品や商品の取り違え、販売機会の損失といったロスの低減や棚卸の負担軽減は、RFID導入のコストを超えるメリットがあるのです。

 

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