【インタビュー】どこまでも顧客に寄り添った、物流のトータルサポート
生産現場や輸送、保管、販売まで、複数の場面で必要となる梱包材。それらを販売する営業部のミッションは、単にモノを提供するということではなく、顧客が困っていることをモノによって解決することです。
株式会社トヨコン 豊川営業所の川澄京司氏に、仕事内容や提案事例などの話を伺いました。
商社として、様々な梱包材を取り扱う
営業部では、ダンボールや化成品、樹脂コンテナ、ラック、コンベア、化粧箱などの梱包材や、テープやバンド、袋などを含めた副資材の販売を行っています。なかでも取り扱いが一番多いのはダンボールです。また、物流機器などの設備や機械の販売も行っています。
顧客の業種は製造業、特に自動車関連企業が多く、食品業界や農業関係、水産関係などの企業とも取引があります。そのほか、小売や通販、卸などの企業に対して、ダンボールやテープなどを販売することもあります。
まず考えるのは「お客様が何を解決したいか」ということ
(画像)モノを販売することで顧客の「困りごと」を解決したいと話す川澄氏
仕事内容としては、ただモノを販売するということではなく、大前提として「顧客が何を解決したいか」というのを考え、それに合わせて商品を提案していきます。例えば、品質保持をしたいのか、コストを下げたいのか、どのように輸送したいのか、現場の作業性を向上したいのか、など、抱える課題や要望は様々です。
もちろん、製品があればサイズや重量、数量、食品メーカーだったら冷蔵/冷凍かどうか、機械だったら静電気や衝撃に対する耐性など、それぞれの条件も確認します。そして、導入までの期限などの時間軸も鑑みたうえで、課題の解決になるような提案を行います。
商社という強みを活かし、様々な素材を組み合わせての提案も可能です。また、これまで使われてきた素材を別素材に変えることで、効率化とコスト削減を提案することもあります。
倉庫の立ち上げをトータルでサポート
顧客の課題解決として、新倉庫立ち上げのサポートをした事例を紹介します。
ある企業が、通信販売の事業部の新設に伴い、自社倉庫を立ち上げることになりました。しかし「開始時期は決まっているものの、どのように何を準備して進めていったらいいかわからない」という相談がありました。例えば、どんなダンボールを何種類くらい準備するべきなのか、緩衝材は要るのか要らないのか、など。
そこで川澄氏は、製品の梱包・輸送に必要なダンボールやテープ、バンド、緩衝材などの提案はもちろん、梱包機やラック、ハンドリフトから、台車・脚立・工具など、実際に作業を開始したときに必要な機材をトータル的に提案。さらに、倉庫内において「ここにラインテープを引いたほうがいいんじゃないですか」というアドバイスも。
「お客様と一緒になり、仕事内容に合った倉庫の構成を考えて、細かいところまでアドバイスさせていただきました。結果、無事倉庫を立ち上げることができました」と川澄氏は話します。
ふとした会話をヒントに、新しい緩衝材を提案
(画像)顧客の元へ足繁く通い、信頼関係を築いていく
また、これまで使用していた緩衝材を別素材へ変更する改善提案を行った事例もあります。
エアー緩衝材を納品していた顧客が、ふとした立ち話の中で「現行の商品に満足できておらず、違った梱包材を使ってみたい」とこぼしました。この内容が気になり、川澄氏は別の素材へ変更することを自主提案します。
「この企業は、小さいものから大型のものまで、様々な種類の商品を全国へ発送されていました。エアー緩衝材は、比較的軽いもののほうが向いており、大きなものになると隙間を埋めるだけの役割になってしまいます。そこで、エアー緩衝材ではなく、紙の緩衝材の提案をさせていただきました。」
紙緩衝材を使用することで、商品を囲ったり包んだりと、より自由度が高く安全に保護ができるようになります。検討の結果、費用対効果も見込めるということで、導入が決定しました。
物流に関する様々な分野の提案を行う
このようなモノの販売以外にも、株式会社トヨコンでは物流・梱包に関する設計、システム開発、倉庫管理といった複数の部門があります。川澄氏は、それらの部門全ての窓口になって、総合的な提案を行っています。
また、製品を安全に、かつ効率的に梱包するための設計やコスト計算、材料選定、調達も請け負っています。専門的な部分に関しては、各部署と共同で進めていきますが、特に関わりが強いのは包装設計課です。工業製品、特に自動車部品に関しては、包装設計の分野がより株式会社トヨコンのノウハウが活かせます。
梱包材の組み合わせ方や提案方法が重要
梱包材の今後の展望について、川澄氏はこう話します。
「画期的な梱包素材が数多く次から次へと出てくる、というような業界ではありません。今後も、資材が大きく変化していくことはあまりないのではないかと思っています。もちろん、梱包材の素材研究は進められていますが、まだまだ研究段階で実用化されていないというのが現状です。それ故に、現行の素材の組み合わせ方や提案方法を考えて、顧客の課題を解決するということが重要だと思っています」
また川澄氏は、需要の減少や国内のものづくりの傾向を考え、少量多品種に共通して対応できる梱包材のノウハウが今まで以上に必要になる、と指摘します。「今後は更に、一点一様ではなく、百点あっても一個の種類の梱包材で対応できる梱包材が求められることが予想されます」
中小企業であり、商社という強みを活かす
(画像)中小企業だからこそできる細やかなサポートが強み
自社の強みについて、川澄氏は「当社は、会社規模としては中小企業。わたしたちのようにモノを販売している部署としては、大手にはできないようなface to faceでの対応ができるというのがメリットだと思います」と話します。
さらに、株式会社トヨコンでは、3年前から毎年3名ずつ営業担当の増員を行っています。このことにより、顧客にとってより連絡をとりやすい、相談しやすい、買いやすい、手間を掛けずに欲しいものが手に入る存在を目指しています。
細やかなコミュニケーションを取り、タイムラグが少なく現物確認やヒアリングができること、このことにより顧客の抱える課題や問題点を見つけ、どこよりも早く解決のサポートを行えることが、株式会社トヨコンの強みです。
この強みを活かすために、「多くの情報を提供してもらえる関係性を築くことが重要」と川澄氏は言います。「単に商品を提供するだけではなく、接点を持つことによってメリットを感じてもらえる、そういった存在でありたいと思います」
※所属部署は取材当時のものです。