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「プロセスで、 せる」
LogiLab
Logistics
LogiLab(ロジラボ)は、トヨコンが取り組む“課題解決のプロセス”を分かりやすく整理し、価値として届けるためのプラットフォームです。

現場で生まれる気づきや改善の流れを記録し、共有することで、新たな発見や次の一歩につながる場を目指します。

LogiLab kids【広報イベント価値の最大化】#1

広報イベントの「価値」とは何か?

広報と営業の指標のズレを、体験価値でつなぐ図

 

広報イベントの価値とは、何でしょうか。
来場者数が多いこと。
子どもが楽しそうにしていること。
アンケートで「満足」「楽しかった」という声が並ぶこと。
広報の現場では、こうした指標が成功の根拠として使われることが一般的です。

 

一方で、社内、とくに営業の立場からは、こんな問いが投げかけられることがあります。
「正直、広報イベントって意味あるの?」
「それって、売上や商談にどうつながるの?」
この問いに即答できない広報イベントは少なくありません。

 

このズレは、広報と営業の温度差ではなく、 価値の定義が曖昧なまま運用されていること から生じています。
広報は「認知」「好感」「関係性」を価値だと捉え、
営業は「商談」「案件化」「受注」を価値だと捉える。
どちらも正しい。しかし、共通の判断軸が存在しないため、「意味がある/ない」という議論になってしまうのです。

 

多くの広報イベントでは、無意識のうちに
来場者満足=価値
という構図が成立しています。
満足度が高いこと自体は重要ですし、否定されるものではありません。
ただ、それを最終価値に置いた瞬間、営業目線の価値とのズレが生じる可能性が生まれます。

 

なぜなら、満足度が高くても、

・この会社は何をしている会社なのか
・何を強みとしているのか
・他社と何が違うのか
が参加者の中に残っていない可能性があるからです。

営業から見れば、「楽しいイベントだった」という感想は、次の会話につながりません。

 

本来、広報イベントが持つ最大の強みは、体験を通じて理解を生むことにあります。
広告やWebサイトは情報を伝える手段ですが、
広報イベントは「考え方」「仕事の進め方」「価値の置きどころ」を体感として伝えられる、極めて貴重な場です。

にもかかわらず、現場では
・無難で安全
・誰にも刺さらないが誰も否定しない
・前年踏襲で失敗しない
という設計に収束しがちです。

結果として、参加者の記憶には「楽しかったイベント」が残り、
「どんな会社だったか」は曖昧なままになる。
これでは、営業にとって後方支援にはなりません。

 
 

ここで、広報イベントの価値を定義し直します。
私たちがこのシリーズで扱う「価値最大化」とは、
来場者数や満足度を追わないことではありません。
それらは前提条件です。

その上で、価値をこう定義します。
広報イベントの価値とは、「我々が何者か」を正確に伝え、参加者の理解として残すこと。
そして、その理解が、後の会話や行動につながる状態をつくることです。

イベント後に、参加者が
「この会社は、こういう仕事をしている」
「こういう課題に、こう向き合う会社なんだ」
と語れるようになる。

その状態が生まれていれば、営業がイベント参加者と接点を持ったとき、説明は格段に早くなります。
広報イベントは、営業の代わりに商品やサービスを売る場ではありません。
営業が売りやすくなる前提認識を、体験で揃える場です。

 

つまり、広報イベントが営業の後方支援になるかどうかは、
「楽しかったか」ではなく、
「我々が何者かが正しく伝わったか」で決まります。

 

第1回では、広報イベントの価値を「来場者が楽しんだか」ではなく、
「我々が何者かが、体験として正しく伝わったか」という軸で捉え直しました。

次回は、自社の広報イベントを題材に、具体的な自社の課題をリアルに考察していきます。