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積載効率の最適化で物流業務を変える!積載率の計算方法と改善策を解説

積載効率の最適化で物流業務を変える!積載率の計算方法と改善策を解説

 
インターネット通販の普及による個別宅配の激増、トラックドライバーの不足や高齢化など、近年、物流業界を取り巻く環境はますます厳しさを増しています。そうした課題のもっとも有効な対策となるのが、積載効率の改善です。ムダな輸送を減らし、効率的な物流業務を行うためには、積載効率を最適化する必要があります。今回は、積載効率の基本情報と向上するメリット、その方法について解説します。

積載効率とは

初めに積載効率の基本的な考え方と、積載率の計算方法について解説します。

積載効率の基本的な考え方

積載効率とはトラックの許容積載量に対して実際に積載している貨物の割合を指し、重量、面積、内容積を基準として考えます。
 
積載効率は積載率を指標として、その良し悪しを判断します。積載率が低いということは、空部分の多いトラックが多く走行するということです。積載効率が低い水準のままで運用が継続すると、売上に対してのコストが高くなり非効率であると同時に、経営を圧迫しかねません。
 
しかし、国土交通省が最近の物流傾向を調べたところ、営業用トラックの積載効率は直近では約40%まで低下しています。物流分野における労働力不足が顕著な今、積載効率の向上が大きな課題です。
 
各トラックにおいて積載効率を向上させればムダがなくなり、人的コストやエネルギーコストの節約が実現します。物流での効率化を促進するためには、積載効率の改善が必須です。

積載率の計算方法

積載効率の指標である積載率では、数値が高いほど輸送効率が良いことを意味します。積載率は積載重量(実際に積載する貨物量)と、最大積載量から計算ができます。
 
実際の計算式は以下の通りです。

  • 積載量÷最大積載量=積載率

例えば、最大積載量10tトラックの積み荷が5tの場合は積載率50%となり、本来の能力の半分しか使用されていないことがわかります。
 
行きが積載率100%であっても、帰りが空(0%)の場合には50%です。理想は往復のいずれもが、100%に近づけることです。現実的には各所で積み下ろしがあると、積載率も変動するため100%にするのは容易ではありません。
 
しかし、基本的な考え方を押さえておくことで、具体的な改善策の立案へとつなげられます。

積載効率を向上するメリット

積載効率を向上することにより得られる主なメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
  

  • コスト削減効果
    ムダな走行が減ることによるエネルギーコスト、人件費などのコストの抑制が期待されます。効率の悪い運用では、一つの荷物を運ぶのにかかるコストが増大します。積載効率向上によりコスト削減が可能となれば、運送費を押さえて他社との差別化を図るといった施策にもつなげられます。
      
  • トラックドライバーの負担軽減
    トラックドライバーの労働時間は、全職業平均より約2割長いことが明らかにされています。また全産業平均より若年層の割合が低く、高齢層の割合が高くなっており、高齢化が進んでいる状況です。積載効率を上げていくことにより、業務現場における負担の軽減を実現できれば人員不足改善につながる可能性も開けます。積載効率を考え、一度のトラックの稼働でより多くの荷物を配送できれば、必要となる人員も抑えることが可能です。
      
  • トラックの効率的な稼働を実現
    積載効率向上でトラックの稼働を効率化できれば、物流業務に関わる作業について全般的な効率化につながります。細分化された配送や荷受けではその都度作業が発生し、ドライバー以外の従業員の業務負担も増えてしまいます。トラックの効率的な稼働により、企業全域の業務の適正な運用が期待できます。

積載効率を向上させる方法

積載効率を良くすることにより、物流の抱える多くの課題解決にもつながることは間違いありません。実際に積載効率を向上していくためには、以下のような方法が提示されています。
  

  • 運行管理・配送状況の把握と共有
    ドライブレコーダーやGPSによって自社の運行状況を把握することは、積載効率を高めていくためのベースとなります。自社のトラックの位置や走行の状態を知ることで、配送ルートの最適化に向けた材料が得られます。社内でリアルタイムに情報共有ができるようになれば、急ぎのニーズにも迅速に対応しやすくなります。
      
  • 積載率の平準化
    コストや配送時間を考慮した上で、各車両の積載率の最適な数値を設定し、常に均等に近づける体制が求められます。100%が理想であるのは当然ですが、自社の運用状況と照らし合わせて実現が可能な数値を置き、向上させていくための工夫を重ねていくことで改善が進みます。
      
  • 商品カテゴリーの集約
    運ぶ荷物のカテゴリーに注目することも、積載効率の改善策です。商品カテゴリーを集約することで、コンテナにまとめて入れられるようになり、スペースの有効な活用が可能になります。
      
  • 共同配送
    積載効率の向上は、自社だけではなく業界全体での取り組みに広げることで効果が高められます。事業者間で連携し、他社との協働で配送荷物のまとめ積みを実施。例えば帰り便の積載率を調整するなどして、空のトラックの走行を減らしていきます。融通しあうことにより、お互いにメリットが得られるよう調整していくことが重要です。
      
  • 荷主との協力体制
    個別の配送が多くなるほど、積載効率が低下します。荷主に協力を得て、配送日や時間指定の制約を緩和する努力も必要です。なるべく多くの配送先への作業と合わせられるようになれば、効率化が進めやすくなります。
      
  • 物流容器の有効活用
    安全により多くの荷物を積み込むためには、積み荷の形状の改善も有効策です。積み荷に適した容器の活用により、ムダのない積載ができます。物流容器を単なる入れ物と考えず、物流のメイン機能を補助する役割ととらえ、より効率性の高い選択をしていきます。荷崩れや破損、変形を防止しながらデッドスペースを生まない容器を選ぶことにより、効率化に貢献します。
      
  • 配送システムの活用
    効率のよい配送ルート、リアルタイムでの情報取得、最適な車両の割り当てを実現するためには、配送システムの導入が最善策です。車両の位置、ルート、ドライバー管理などのデータと積載率を照らし合わせ、もっとも効率的な配送を割り出して実施できるようになります。AI搭載型であれば、過去データをもとにしたルート策定や配車計画の自動更新が可能となります。
      
  • モーダルシフト運用
    モーダルシフトは、国土交通省が物流課題改善に推奨する施策の一つです。トラックに併せて輸送力の大きい鉄道や船舶を積極的に活用することで、効率化を推進します。モーダルシフトの運用は人材不足解消、燃料コスト削減、排出ガスの削減による環境負荷への配慮といった効果が期待できます。

 
輸送手段を柔軟に組み合わせていくことにより、積載効率にも寄与します。企業一社だけでは難しい場合もあるため、業界全体での取り組みが求められます。

まとめ

積載効率の悪化は、物流の現状を語る上でも大きな課題とされています。各物流業者が積載効率向上を行うことで、自社の経営状態の改善に貢献するだけでなく、物流業界全体の生産性向上に寄与します。積載効率向上策では、自社努力だけで可能なものと、荷主や同業者など各方面との協力が必要なものがあります。自社の事業にとって、どのような方策が可能であるのかを検討し、積載率の改善に向けて行動を起こしていきましょう。

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参考:

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