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省人化は人を支える技術 ウェアハウス・ロボットとロジスティクス・ロボット

省人化は人を支える技術 ウェアハウス・ロボットとロジスティクス・ロボット

ウェアハウス・ロボット(倉庫ロボット)とロジスティクス・ロボットの市場は成長を続けており、2021年までに224億ドルの規模に達するとの推計があります。物流業界でロボット化が進む理由は、Eコマース産業の躍進により、小口の荷物の配送が急激に増えているためです。リードタイムを短縮しつつ、コストを削減することが急務となっています。

倉庫作業の負担を軽減

ウェアハウス・ロボットの分野で注目を集めているのが、Amazon.comの「アマゾン・ロボティクス」に代表されるピッキングロボットです。ネット通販で購入される商品は、注文主ごとに商品の組み合わせが異なり、形もさまざま。こうした分野で物流を担う業者に求められるのは、速さはもちろんのこと正確性です。

人間の商品ピッカーは、本来はロボットよりも優れた柔軟性と判断力を備え、多様な商品の組み合わせを選びだすことができます。日用品のリピート購入と、ホリデーシーズンのギフト需要とを区別することも容易でしょう。ただし、これは活力ある状態でのこと。広い倉庫を歩きまわったり、重いものを上げ下ろしする作業を続けていると、時間がかかるうえに疲れて判断力が落ちてしまいます。

そこで、人間が商品の組み合わせを判断する作業に注力できるように支援するのがピッキングロボットです。前述のアマゾン・ロボティクスはピッキング担当者のところへ棚ごと商品を届ける方式になっており、「棚へ向かって移動する」という負担を減らします。これに対して、アメリカのFetch Roboticsのように、ピッカーロボットとバスケットを持った自動走行ロボットがコンビを組んで商品ピックアップを行う方式も登場しています。

こうしたロボットは、画像認識の向上と障害物を避けるなどのモビリティ性能の向上により、広大な倉庫内を安全に移動して商品をピックアップすることが可能になりました。人間の担当者は小口の荷物が注文通り正確にピックアップされているのか、人間の認識力で確認することに注力することができます。

重量物運搬の負担を軽減

ロボット化が進んでも、人間が荷物を持ち上げるという作業は物流のなかに必ず存在します。こうした段階で、人間の身体をサポートしたり、配送車と倉庫や配達先とのインターフェースとなって重量物の運搬をサポートするロボットがあります。

ひとつの形は、人間が物を持ち上げる作業をサポートする「パワーアシストスーツ」でしょう。日本では空港のチェックインカウンターに導入されているロボットスーツ「HAL」が有名ですが、アメリカでは住宅資材や生活家電を扱うチェーン店「ロウズ・カンパニー」が店舗の従業員向けにパワーアシストスーツを導入しています。

ロウズで扱うのは、セメントやペンキなど重たい住宅資材や家電製品です。ヴァージニア工科大学が開発したパワーアシストスーツは、しゃがむ→物を手に抱える→立ち上がる、といった一連の動きで腰や脚をサポートしてくれます。また、カーボンファイバー製で電力を使わないハーネスのようなタイプのため、とても軽量で装着に手間もかかりません。1日身につけていても気にならない、という従業員のコメントもあるほどです。

将来の構想として、道路や商業施設、自動車に配送を支援するロボットを追加することも考えられています。配送車にロボットアームを搭載し、積まれた荷物から注文主のものを確実にピックアップする、小売店で買いだめをした人のために自動車のトランクに荷物を積む作業を支援する、といった要所要所での運搬支援が可能になります。

配送の負担を軽減

物流業界のみならず、一般からの関心も集めるのがドローンと呼ばれるUAV(無人航空機)による荷物の配送です。Amazon.comなどが取り組んでいることが注目されていますが、実用化に向けて動いているのはそれだけではありません。フランス郵政公社「La Poste」はすでにUAV配送の実証実験を始めています。

UAV配送を実現するには、運べる重量や法律が問題になってきます。現在のUAVは2.5kg程度までの小型の荷物までしか対応できません。また、アメリカでは小型のUAVを操縦する場合、操縦者が視認できる範囲しか飛ばせないといった制限があります。フランスでは、2014年に整備された法律によりこうした制限が一部緩和されました。UAV配送が目標としているのは、離島や山間部に住む人に対し、医薬品のように軽量の荷物を届けるという配送業務です。人によるアクセスに多大なコストがかかる地域に対し、生活のために必須な荷物を届ける、とゴールを明確にすることで、UAV配送の実現を可能にしているのです。

また、ラストワンマイルのロボット支援はドローンだけではありません。ドイツの物流企業、DHLのウェアハウス・ロボットに関するレポートによれば、人間の配達員に追従して荷物の運搬を行う小型トラックや、宅配ボックスへの配達などの定型の業務を行うタイプも構想されているのです。

物流ロボットは、画像認識や多関節、グリップ性能に優れた五本指の手、障害物を的確に避けるモビリティなど要素技術の進歩により、進化を続けています。急速な普及が進んでいますが、ロボット化は働く人をロボットに置き換えるものではありません。重量物の上げ下ろしや長時間の細かい移動といった負担から人間を解放し、人間の得意なフレキシブルな作業に注力するための役割も担っているのです。

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