ガムテープと聞いてどのようなテープを思い浮かべますか? おそらく多くの方が、クラフトテープや布テープ、またはダクトテープと呼ばれるものを想像したのではないでしょうか。今回は「本来のガムテープ」についてご紹介します。
一般的に「ガムテープ」と呼ばれているものは、実は「本来のガムテープ」ではないことをご存じでしょうか。本来のガムテープとは、細長い帯状のクラフト紙の片面に水性の糊を塗布し、乾燥させた上でロール状にしたもののことです。使用するときは、糊のある面を濡らして粘着力を活性化させ、貼り付けます。
日常的に大量使用する場所では、手動または半自動でガムテープに水をつけて送り出すディスペンサー(水付け繰出し機)が用いられます。
では普段、「ガムテープ」と呼んでいるものは何なのでしょうか。以前、別の記事でもご紹介しましたが、「クラフト粘着テープ」または「布粘着テープ」が正式な呼び方です。欧米ではよく使われる「ダクトテープ」も、ガムテープと呼ぶ場合もあります。これらは水を使わずにそのまま貼り付けることができ、ディスペンサーのような専用の機械も必要ありません。そういった手軽さからよく使われるようになり、次第に「ガムテープ」として認識されるようになったと言われています。
この本来のガムテープ、実は90年もの歴史があります。1920年代、東京の不二商会(現リンテック株式会社)が開発・販売したのが、ガムテープの始まりと言われています。当時、物流資材としての箱と言えば木箱が主流。次第に段ボール箱へと切り替わり、それにつれてガムテープの需要も急速に拡大していきました。その後時代の流れとともに、前述の通りクラフト粘着テープが普及し、現在に至ります。
しかし、この本来のガムテープが、今再び注目されつつあるのです。
なぜ今、ガムテープが再注目されているのでしょうか。その答えは、ガムテープの優れた特徴にあります。ガムテープはどのようなメリットを持つのかを見てみましょう。
このようなメリットからガムテープが再び注目され、最近では海外で需要拡大との声もあります。
日報ビシネスが発行する包装業界新聞「包装タイムス」では、海外通販市場を中心にガムテープの取引が急速に成長していると紹介しています(2018年1月1日・8日合併号)。ガムテープの印刷適性がブランドイメージ付与に貢献し、主にBtoB取引において効果を発揮していることが要因のようです。
また、ガムテープは完全に固着・密封できるため、箱の内部への虫侵入を防ぎます。これが、近年さらに重要視されるようになった食品安全性でも評価されているのです。さらに、荷物のセキュリティーや紙資源のリサイクルなどの面でも注目されています。
近年急速に巨大化している海外通販業界では、省力化・自動化が今後の競争力となることは明白です。通販市場の拡大と同時に、自動製函機・自動封函機も進歩しています。これらのニーズが追い風となり、ガムテープが再び脚光を浴びているのです。
梱包材入門として、ガムテープについて解説しました。本来のガムテープとはどのようなものか、普段ガムテープと呼ばれているものとはどのように違うのか、おわかりいただけましたでしょうか。ガムテープにはさまざまなメリットがあり、セキュリティーや環境への配慮といった現代のニーズに適合する部分が多くあります。これらのことから、再び「本来のガムテープ」に注目が集まっているのです。
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