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【梱包道場】落とす、揺らす、潰す。梱包の性能試験とは

【梱包道場】落とす、揺らす、潰す。梱包の性能試験とは

【梱包道場】は、トヨコン社員・木村ラマヌジャンが、設計や素材など、梱包の基本的な知識について学んでいくシリーズです。


~ある日のトヨコン・豊川営業所~

K先輩「おいラマヌジャン! どうした、元気ないじゃないか?」

ラマヌジャン「そうなんですよ。実は週末、TOEICの試験があるんです。昔から試験となると憂鬱で……」

K先輩「そういえば英語を勉強してると言っていたな。えらいじゃないか」

ラマヌジャン「はい。勉強はなんとか頑張れるんですけど、試験って苦手で。勉強を頑張っていることには違いないんだから試験はいらないんじゃないかなぁ……」

K先輩「お前が英語の勉強を一所懸命に頑張っているっていうのを、誰にでもわかるように、客観的に示すためのツールが試験なんだ。日頃の頑張りを証明しにいってこい」

ラマヌジャン「そうですよね。僕の頑張りをみんなにも認めてもらいたいです」

K先輩「梱包も同じだぞ。どのぐらい丈夫かを、同じ物差しで測った結果がないと内容物や使われ方にあった梱包を選ぶことができない。だから試験があるんだ」

ラマヌジャン「梱包も試験を受けるんですか? マークシートですか? 記述式?」

K先輩「性能試験だよ……。よし、今日は梱包の性能試験について教えてやろう!」

 

試験はなぜ必要?

大切な物品を梱包がどれだけきちんと保護できるかを「頑丈に梱包した」「しっかり梱包した」ではなく、数値で具体的に示すために試験が必要です。後ほど紹介する、梱包の試験方法を定めているJIS Z 0200においても、「包装貨物が流通過程において受ける振動、衝撃及び圧縮に対する包装の保護が適正であるかどうかを、評価するため」とされています。

適正というのは正しいというだけではなく、要求や状態、目的に対して適当であるという意味ですから、決まった条件で試験を実施し評価することは、性能が過剰になってないか、大事な部分を守れているか、など梱包の品質、コスト、納期を見直すうえでの指標になります。


ラマヌジャン「なるほど~、流通過程できちんと中身を守ることができるかだけじゃなく、過剰じゃないかの判断にも使えるんですね」

K先輩「そうだな。次はどんな項目についての試験があるのか、代表的な試験の種類についてみていくぞ!」

ラマヌジャン「試験科目がいっぱいあるのか~。梱包さんも大変ですね……」

 

どんな試験があるの?

代表的な試験は、落下試験、振動試験、圧縮試験の3つです。落下試験は梱包された荷物が落下の衝撃にどれだけ耐えられるか、振動試験は輸送中の振動に対する耐性、圧縮試験は積み重ねなどによる圧縮への強度を調べます。


ラマヌジャン「内容物を衝撃から守るために外箱から離す方法は緩衝材だけじゃないんですね!」

K先輩「いいところに気付いたな。内容物が動かないように固定する方法もいろいろあるぞ。さて、最後に中身を取り出した後の工夫も見てみよう」

 

試験の方法は?

試験の方法が統一されていないと比較ができないので、JISに試験方法が規定されています。JIS Z 0200 包装貨物−性能試験方法一般通則がそれにあたりますが、落下試験・振動試験・圧縮試験それぞれの試験方法についても規格があります。

落下試験方法

JIS 0202 包装貨物−落下試験方法で規定されているこの方法は、車や船などに人力で積み下ろしをする荷物の試験に適しています。積み下ろし時に荷物が落下した場合に受ける衝撃から内容物を保護できるかどうかを評価します。どのような状況での性能を評価したいかによって、落下の向き(面から落ちる、重心のある角から落ちる)や落下の回数を設定します。試験機は、実際の高さから落下させる自由落下試験機と、自由落下と同等の衝撃を少ない落下高さから付加する衝撃試験機の2種類があります。

振動試験方法

この方法は、輸送過程で受ける振動に対する内容物と梱包の耐振性を評価するものです。JIS Z 0232 包装貨物−振動試験方法では垂直方向(Z軸)の振動試験についてのみ規定されていますが、実状に合わせてX軸、Y軸方向の振動に対する耐振性の評価も検討した方がよいでしょう。また、固定されていない荷物の跳ね上がりや、輸送中に置く向きによって、求められる耐振性は大きく異なるので注意が必要です。試験機は、X、Y、Z軸にテーブルを振動させられる加振機が用いられます。

圧縮試験方法

段ボール箱を何段も積み重ねたときに下の荷物が受けるような力を圧縮と呼びます。JIS 0212 包装貨物及び容器−圧縮試験方法では、金属、木材、段ボール、板紙、プラスティックやこれらの組み合わせからなる荷物と容器について、圧縮試験機を用いた試験方法を規定しています。評価対象の貨物を上下の板で挟み、動力で荷重をかける試験機が使われます。


ラマヌジャン「なるほど、実際に評価してみたら強すぎたから、もっと控えめな性能でも十分に間に合う、なんてこともあるんでしょうね~」

K先輩「そうだな。要求を満たしているかどうか、過剰かどうか、適切な方法で試験して評価することが大事なんだ。お前の受ける英語の試験と一緒だよ」

ラマヌジャン「一緒ですか! そうかぁ、もっと控えめでも十分っていう可能性があるんですね!」

K先輩「一緒っていうのは、勉強が控えめでいいって意味じゃないぞ!?」

 

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